袿
その四
 (うちき)

薄青地花紋袿


久々に袿を縫いました♪
たまたま良い生地を発見したので、久々に袿をと考えたのです。

今回は、「現代のいわゆる十二単」に用いられる表着と同じかたちの袿です。
実は、同じ生地が袿もうひとつ作れるくらい残っているので、
古い形でもうひとつ縫ってみて比較してみようと考えているのです。

袿はすでに幾つか縫ったので、今回は縫製過程を少しご紹介します。


三色の花の紋が浮き紋で織られている布です。

ちなみに、地紋として七宝繋ぎ・輪繋ぎとよばれているような輪が連なっている地紋が
織り込まれています。
そして、地紋をところどころ織らない部分で花紋のまわりに葉や花の文様の影のように見えるような様子になっています。
袿の布としてとても良い感じだと思います☆


当たり前ですが、例によって
裁断して縫っていきます。

裏地は御覧のように
紺色系にしました。
程よい光沢のやわらかい
良い生地がありましたので
即決定です。


←身頃の部分です。
背縫いは紋を合わせるようには
縫いませんでした。
なんといっても「面倒臭い」というのが
本音ですが、
古い遺品には紋を
合わせて縫った形跡が全くありません。

っというとても都合の良い事実を盾にして、
面倒な紋袷せはしないのです(笑)


余談ですが、メールなどで
「お仕事は和裁関係をされているのですか?」と
聞かれることがよくございますが、
私は、裁縫関係とは無縁の仕事をしております。
先生などにも習ったことはありませんし、
すべて独学の我流です(笑)
平安の女房がそうであったように♪
 
 ↑      衽(おくみ)を縫い終わったところです。    ↑

そして襟付け等の仕上げ的工程を経れば
完成です☆

完成です!
今回の「袿(うちき)」を強調したかったので、
あえて下に重ね着をしませんでした。
ちなみに、裏地はオメリにしていません。


袿に何を合わせて着て
写真を撮るべきか迷いました。

指貫をはいて袿を着るべきか、
女性に裳・唐衣を合わせて着て
いただいてUPするか、など
様々考えました。
結論は、画像の通り平安貴族の
君達が自分の家でくつろいでいる
ところにしました。

私は、「装束の美」は実用なところにあると
あちこちで主張しているのですが、
現代でいうカジュアル着とフォーマル着の
双方にそれぞれの美しさとお洒落と実用性が
あると思っております。
袿は日常のカジュアル着としてのお洒落と
美しさとしての描写が古典文学には多く見られます。

したがって、日常着・仕事着としての袿に
特に焦点を当てたいと考えました。



さりげなく銀の香炉を足元に
置いてみましたが、
少々わざとらしい・・(汗) 

あくまでメインは袿なので
(笑)

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女君の着装写真


七重勾当内侍(ななえのこうとうのないし)、駿河内侍(するがのないし)殿にも
今回制作の袿を着ていただいて袿姿になっていただきました♪
(髪型は現代のままですので、平安時代からすると千年ほど先取りしたヘアースタイルということになります(笑)
七重勾当内侍(ななえのこうとうのないし)殿です
すべて承香院制作の装束です
ちなみに蝙蝠扇の彩色も♪




自分の局でくつろいでいる姿という風情です


続いて、駿河内侍(するがのないし)殿に着ていただきました
やはり装束は、人が着ている
立体的な様子が一番美しく見えますね
駿河内侍(するがのないし)殿は
現在、様々な研究でもいわれている
平安時代の女性の平均の身長に近いこともあり
シルエットとしても平安の様子に近いと思います♪

(今回撮影に当たって、撮影時に特別に裾を整えたりせずに、自然な状況で撮影をしたために、裾が乱れていたりします。
このほうが自然だと思いますので、あしからず)

ちなみに、使用した装束はすべて「糸所」で紹介している
承香院の自作装束です♪

お二人の内侍方には快くご協力してくださいまして
ありがとうございました。御礼申し上げます。
また、サイト写真UPにも快くご了解をいただき
ありがとうございました。今後ともよろしくおねがいいたします(拝)


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