紅のひとへの袙
(くれなゐの ひとへの あこめ)



すでにフェイスブックでも公開している通り、
平安時代には枕草子でも登場している「ひとえの袙(あこめ)」を
縫いました。

袙(あこめ)という装束には諸説ありますが、私としては、一条天皇の御世の「袙」は、絶対こういうものだという自負がある定義があります。
それは、


1、袙は小さい(丈が短い)
2、上着だとか下着だとかは決まっていない。
   特に、近世以降の有職で用いられるように
   限定的に「束帯の下着」ということではない
3、幾つかの古神宝類に見られるような丈の長いものではない。
  (残された目録と装束自体が一致していない可能性が高いと考えている)


です。
枕草子と雅亮装束抄を読むとはっきり書かれているからです。

そんなわけで、平安中期に見られたような袙(あこめ)と当時着られたであろう着装姿でご紹介します!

あこめの語源は私は「阿子女」で、意味は「ちいさな子供」を意味している
と私は考えています。
丈が短かったり、小型だったり、場合によっては数が少ないなどの場合に
「あこめ」と冠して、そのものが小さいものであることを意味したのだと思います。

今回の反物は、
いわゆる「浮線綾」の紋様です♪

あえて裏地はつけず、「ひとえのあこめ」というこだわりでいきます!

紋合せは、全く気にしません(f断言)
古い遺品で紋合せしているのを見たことありません。

個人的には、紋合せはやはり美しいもので好きですが、
「平安時代の」と高らかに銘打って紋合せするのは違うと思うのです。平安は極力無駄を出さない「エコ」なんです。

襟もつけました。
あとは袖だけです。

ちなみに、近世以降にみられる
糊をつかったヒネリもしていません。

平安時代は、雨にもぬれ、水にも濡れます。儀式用の特別装束ではなく、
あくまで日常の服なのです。

やるなら糸ひねりです。
今回は端の処理には目をつぶってくださいませ・・・。

完成!!

いくつかの絵巻物に、このようなシルエットの袙を着た人物画が見られますが、
同じ感じです!
いつも思うのですが、絵巻はかなりシルエットや線などを忠実に描いていることに
驚かされます。

今回は、萌黄の指貫(さしぬき)に、やまぶきの袙を重ねてみました♪


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