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山吹のひとへの袙(あこめ)
今回は、「あこめ」と呼ばれる上着を縫うことにしました。 この「あこめ」には、様々な説があり、「袙(あこめ)」を調べても調べても、なんだか あいまいな定義だったり、現存する袙と、その形状が全然違っていたりとなんだか はっきりしません。 現在の「袙」は、束帯(男性の正装装束)の下着としてきちっと定義されていますが、 平安のそれとは絶対に違うといえる根拠があります。 以前、「袙(あこめ)」という解説に、「束帯の下に着る下着、裏地のついたもの」という 説明がありました。 ところが、枕草子に「ひとへのあこめ」という記述が出てくるのです。 ものによっては、袿と同義。とされていたり、なんでもあり状態です。 少なくとも、平安時代の袙の定義といえるものは枕草子にしっかり書いてあります。 ◆丈がすっごく短い。 以上です。 平安の装束の名前や色について、いろいろな書籍や解説がありますが、 私なりに断言できることがあります。 平安時代の色や装束、物の名前というのは「遠目にもはっきりと区別できる」ということです。 例えば、現代でいうところの束帯の「単」と「袙」は、近くでよく見ないと区別がつきません。 色も、紫なのか二藍なのかよくわからないものがあったりします。 平安時代の文学を読むと、遠くから見ていても「それだ」ということがはっきりと明記されて いるのです。 つまり、遠目に見ても(牛車の中から御簾越しに見ても)しっかり区別ができる違いが あるのです。 現代のような学術的な物の分類ではなく、平安時代は、物と物を区別するための 「実用目的で」ものに名前がつけられているということを忘れていけないなと 再認識させられました。 |
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← 背景色と紛らわしくなってしまって すみません。 イメージが良くわかるようにといつも似た色を選択しているのですが、紛らわしい時があります・・・。 山吹色という黄色とオレンジの間みたいな色で、興味深いことに、一般的には 最近山吹色という名前をあまり知らない人が以外に多いことに驚かされました。 人によって黄色と言ったりオレンジと言ったりされたのです。 「山吹色」はとても素敵な色です。 知らなかった人は是非覚えてください! |
→ 裂地(きじ)の端の処理をしたあとに 身頃を縫い上げたところです。 (袖も縫いあがってますが、他の装束と形が同じなので省きます) |
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← 衽(おくみ)をつけた後に、衿(えり)を 縫い付けました。 裏地がないので、サクサクすすみます♪ |
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袖と縫い合わせて完成! |
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← 今回完成した袙(あこめ)を着て、 花見に出かけたときの 袖口の様子です。 こうしてかさねて着ると 袙の存在感がよくわかりますね☆ |
![]() この「袙」も「萌黄の指貫」と併せて ある教育施設の展覧会に出展させていただきました。 少し見劣りするかもしれませんが、 「単(ひとえ)の袙(あこめ)」というものに是非注目して欲しくて この組み合わせにしました。 平安というとことさら「何枚も重ねる」というイメージが先行してしまう 印象がありますが、必要に応じて重ねていただけで、 実際には、貴族も袙だけを着ていたり、直衣だけを着ていたり 単だけを着ていたりしています。 要は、快適で美しければなんでもいいってことですね(笑) もどる 目次 トップへ |