院別当の君日記

如月


 
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如月二日

いと寒きに
御衣ひき重ねて
しどけなうおはします



如月六日

小式部内侍が御兄の君の
ものする御宴にとて
御楽の試みせむとて
君達おはしたり
小式部内侍、渡辺宰相
権少将など参りて
まうけたりつ



如月十二日

つとめて
渡辺宰相が御唐車の
めだたきに
真木の君さぶらひて
院に参り給へり
権少将、さぶらひて
院をば御車には
移し奉る
御許し賜りたれば
権少将もはた乗りつ
御車いと広ければ
御車がうちに
御几帳参りて
前つ方には
院に宰相さぶらひ給ひたる

夕さり
御宴に楽の音いと清らにて
調べめでたう合はしたる様こそ
いとめでたかりつれ
雪もふりたれば
あはれまさりて
御方々、をかしがりて
おはすめり



如月十三日

御宴はてぬれば
春見むとて
山に舞詣でたりつ
宰相が御唐車に
奉りて
渡辺宰相、真木の君
権少将さぶらひたまふ
真木の君
春見たりとて
あまたのもの食ひなど
したれば皆笑ひて
麻呂も得むとて
ざれたるもをかし



如月十五日

富樫の検非違使、宿直したる



如月二十日

按察使大納言の殿へは
忍びておはしましつるに
梅の花めでたう咲きたれば
興じさせ給ひつ
をかしきことども
しはてて夜も更けぬ








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